ニキビ跡をメイクで隠す方法と自力でケアする方法

ニキビができるのは誰にでも経験があることですが、ニキビ自体は自然に治ることが多いものの、正しいケアを怠るとニキビ跡として残ることがあります。ニキビ跡はニキビが治った後の肌に残る、赤み、色素沈着、凹み(クレーター)、によるシミなどのことです。顔にできたニキビ跡は、鏡を見るたびに気になってしまうものです。

目次

ニキビ跡が治りにくくなる原因とメカニズム

ニキビ跡が残りやすく、また治りにくくなる原因は、主に以下のメカニズムによるものです。

 ニキビの炎症の長期化

ニキビができた際に炎症が長期間続くと、肌の深い部分(真皮層)にまで損傷が及びます。この炎症により真皮内のコラーゲンやエラスチンが破壊され、肌が正常に修復できない状態になりやすくなります。炎症が早期に収まれば軽度の赤みや色素沈着で済むことが多いですが、炎症が長期化すると肌細胞が繰り返しダメージを受け、ニキビ跡として残ります。

 肌のコラーゲン生成の乱れ

肌が傷つくと修復のために新たなコラーゲンが生成されますが、ニキビができると、「修復のプロセス」が乱れることがあります。コラーゲン生成の乱れると、ニキビ跡が定着し、消えにくくなります。

コラーゲンの不足

炎症が起こった後、肌の再生が追いつかずコラーゲンの産生が不十分になると、凹凸やクレーター状の跡ができます。

過剰なコラーゲン生成

逆に、過剰な修復作用でコラーゲンが過度に生成されると、肥厚性瘢痕やケロイド状に肌が盛り上がることがあります。

肌のターンオーバー(新陳代謝)の低下

肌のターンオーバーとは、肌の新陳代謝を指し、肌の細胞が一定の周期で生まれ変わることをいいます。このサイクルが正常であれば、軽度のニキビ跡は徐々に薄れていきますが、以下の要素がターンオーバーを乱し、肌の修復が遅れ、ニキビ跡が残りやすくなります。

  • 加齢による肌細胞の活性低下
  • 睡眠不足やストレス
  • 紫外線や乾燥による肌へのダメージ
  • 不適切なスキンケアや過剰な刺激

ニキビ跡が色素沈着(シミ)になる

ニキビ跡ができると、肌は炎症に対してメラニン色素を生成します。このメラニン色素が肌に沈着することで「茶色っぽいシミ」や「赤みを帯びたシミ」が残ります。
メラニン色素は紫外線から肌を守るために生成されますが、炎症が強いほど大量に生成され、色素沈着として肌に残りやすくなります。
紫外線は肌に当たると、紫外線によるダメージを防ごうとして、メラニンを増やして肌を防御しようとします。そのためニキビ跡のある状態で紫外線を浴びると、すでにできているメラニンがさらに濃くなり、色素沈着(シミ)が定着してしまうのです。

皮膚の深層部まで達したダメージ

軽度のニキビによる炎症であれば、肌のターンオーバーによって次第に薄れていきます。しかし、ニキビが重症化して肌の奥深くまで炎症が広がると、真皮や皮下組織まで大きなダメージを受けます。炎症を鎮めるため、身体は白血球を送り込んで対応しますが、その過程で炎症部分だけでなく、周囲の皮膚細胞や真皮組織まで破壊されることがあります。
真皮層は表皮とは異なりターンオーバーで修復することが難しいため、一度破壊されると元の状態には戻りにくく、ニキビそのものが治ったあとでも、ダメージを受けた部分が「クレーター状のニキビ跡」として残ってしまうのです。
ニキビ跡を残さないためには、早期の早めに治療や適切なスキンケア、肌のターンオーバーを促す生活習慣の改善が必要です。

ニキビ跡の悪化を防ぐための日常的な注意点

ニキビ跡が悪化するのを防ぐためには、日常生活でのちょっとした習慣の改善が大切です。

清潔な洗顔と肌への負担軽減

ニキビ跡の悪化を防ぐためには肌を清潔に保つことが必要です。ただし、過度な洗顔や力を入れた摩擦は逆に肌を傷つけ、炎症を起こしやすくなります。

 洗顔は1日2回程度が目安です。
 洗顔料は肌に優しいものを選び、泡立てて優しく洗いましょう。
 洗顔後は清潔なタオルで軽く押さえるように水分を取ります。こするのは厳禁です。

 保湿ケアを徹底する

乾燥は肌のターンオーバーを乱し、ニキビ跡の回復を妨げます。しっかり保湿ケアを行うことが大切です。
洗顔後は化粧水で潤いを与え、乳液やクリームで保湿しましょう。
保湿成分(セラミド、ヒアルロン酸、グリセリンなど)配合のアイテムを選ぶのがおすすめです。

 紫外線対策をしっかり行う

紫外線はニキビ跡の色素沈着を進行させます。
日焼け止めは一年中使用しましょう。特にSPF30以上・PA++以上のものが推奨されます。
帽子や日傘を活用して紫外線から肌を守ります。

 ニキビやニキビ跡を触らない・潰さない

手で触ったり、無理に潰したりすると炎症が広がり、ニキビ跡がさらに深刻になります。
気になっても手で触らず、放置するのが一番です。
髪の毛やマスクなどが肌に刺激を与えないように注意します。

 食生活を見直す

食事は肌状態に大きく影響します。
ビタミンC、E、B群や亜鉛を多く含む食材(緑黄色野菜、ナッツ類、レバーなど)を意識して摂取しましょう。
糖分や脂肪の多い食事、刺激の強い食べ物(辛いものなど)は控えるようにしましょう。

 十分な睡眠とストレスの軽減

睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、肌の回復力を低下させます。
睡眠時間を1日7~8時間確保しましょう。
適度な運動や趣味の時間を設け、ストレスをためない生活を送るのが大切です。

 化粧品・メイク用品の選び方

肌に刺激の少ない化粧品を選ぶことで肌の負担を減らします。
ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせにくい)の表記がある化粧品を選びます。
メイクブラシやスポンジなども清潔に保ち、細菌の増殖を防ぎましょう。


これらのポイントを日常生活に取り入れることで、ニキビ跡の悪化を防ぎ、肌の回復を促進できます

 ニキビ跡を隠すためのメイクのポイント

ニキビがあるときにメイクをすると、「肌に悪いのでは?」と不安になる方もいるでしょう。実は、ニキビがある状態でも、正しい方法であればメイクをしても問題ありません。

ニキビができる主な原因は、皮脂の過剰な分泌やホルモンバランスの乱れです。これらが毛穴を詰まらせ、結果としてニキビができてしまいます。そのため、メイクそのものがニキビの直接的な原因になることは少ないのです。しかし、厚くメイクを重ねたり、清潔でないメイク道具を使ったりすると、ニキビの状態を悪化させる恐れがあります。また、油分の多いファンデーションはニキビを刺激してしまう可能性があります。

一方で、ニキビ肌に適したファンデーションを選び、清潔なメイク道具を使用して、厚塗りを控えれば、メイクは問題なく楽しむことができます。

ニキビ跡を隠すメイクは、自然で肌への負担が少ない方法を選ぶことが大切です。

メイク前の保湿ケアをしっかり行う

ニキビ跡は乾燥でさらに目立ちます。しっかり保湿しておくことで、ファンデーションの密着度が高まり、カバー効果がアップします。
洗顔後に化粧水や乳液で丁寧に保湿します。
乾燥がひどい箇所は、美容液やクリームを追加で使用しましょう。

コントロールカラーで色味を補正する

ニキビ跡は、色によって使用するコントロールカラーが異なります。

 赤みのあるニキビ跡:グリーン系のコントロールカラーで赤みを抑える。
 茶色・黒っぽい色素沈着:イエローやオレンジ系のコントロールカラーを使って目立たなくする。

指やスポンジで優しく叩き込むようになじませます。

コンシーラーでピンポイントカバーを行う

ニキビ跡をピンポイントでしっかり隠すには、コンシーラーが必須です。

色選びのポイント

  自分の肌より少し暗めまたは同じくらいの色を選ぶと自然に仕上がります。

タイプの選び方

  クレーター状や凹凸がある場合はクリームタイプ、色素沈着にはリキッドタイプがなじみやすいです。

 塗り方のコツ

  ブラシや綿棒でニキビ跡に点置きし、指で軽く叩いて境目をぼかします。

ファンデーションの使い方

ファンデーションはカバー力があるものを選び、厚塗りにならないように注意します。

タイプのおすすめ
クッションファンデーション:自然なカバー力と保湿力に優れる。
リキッドファンデーション:カバー力があり、乾燥を防げる。

 塗り方のコツ
スポンジで肌に軽く叩き込むように塗ると、密着感が高まり崩れにくくなります。ニキビ跡部分にはさらに薄く重ね付けしましょう。

パウダーで仕上げを行う

最後にパウダーを使用することで、メイク崩れを防ぎ、肌のテカリを抑えます。
透明感のあるルースパウダーをブラシでふんわりと乗せることで、ナチュラルな仕上がりになります。
ニキビ跡が気になる箇所は特に優しく抑えるようにパウダーを重ねます。

メイクを長持ちさせるポイント

メイクを長持ちさせるためには以下を実践しましょう。
メイクの後にフィックススプレーを使用すると、長時間崩れにくくなります。
日中の汗や皮脂をティッシュや軽く押さえるだけで吸収し、こすらないように注意します。

 ニキビ跡にするメイクの注意点

 厚塗りは肌への負担や崩れの原因になるため、薄く丁寧に重ね付けするのが鉄則です。
 メイク後は丁寧なクレンジングを行い、肌をしっかりと清潔に保つことでニキビ跡の悪化を防ぎます。
これらのポイントを実践すると、ニキビ跡を自然に隠しつつ、肌への負担を最小限に抑えたメイクが実現できます。

ニキビ跡に効く食事や栄養素

ニキビ跡を改善するには、肌の修復を促したり、炎症や色素沈着を抑える働きを持つ栄養素を日頃から摂ることが大切です。

ビタミンC(コラーゲン生成・美白)

ビタミンCは、肌のコラーゲン生成を促して弾力を取り戻す働きや、色素沈着を薄くする美白作用があります。レモンやオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘類のほか、イチゴ、キウイ、パプリカ、ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草などに豊富です。これらを生のまま、あるいは加熱を抑えめにして摂ることで効率よく摂取できます。

ビタミンE(抗酸化・血流改善)

ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、肌の酸化や炎症を抑えるほか、血行を促して肌の再生をサポートします。アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類やアボカド、オリーブオイル、ひまわり油、カボチャ、ほうれん草などに豊富で、毎日の食事に良質な植物油をドレッシングとして取り入れたり、間食としてナッツ類を食べることがおすすめです。

ビタミンA(肌のターンオーバー促進)

ビタミンAは、肌のターンオーバーを整えて新しい肌細胞を作るのを助ける役割があります。ニンジンやカボチャ、トマトなどの緑黄色野菜や、鶏レバー、豚レバー、卵黄、うなぎに豊富に含まれます。油脂と一緒に摂ると吸収率が高まるため、炒め物などにして食べるのが効果的です。

亜鉛(肌の修復・新陳代謝促進)

亜鉛は、肌細胞の再生や新陳代謝を促進し、ダメージを受けた肌を修復する働きを持つミネラルです。特に牡蠣に多く含まれるほか、牛肉(赤身)や豚肉、レバー、卵黄、ごま、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)にも含まれています。これらを毎日バランスよく摂ることで肌の再生を効率的に促せます。

タンパク質(肌の材料となる)

タンパク質は皮膚を作るための材料となる栄養素で、コラーゲンやエラスチンの生成を助けます。鶏むね肉や豚肉のヒレ、牛赤身肉など脂肪が少なめの肉類、鮭、マグロやサバ、イワシなどの魚介類、さらに卵や納豆、豆腐などの大豆製品に多く含まれます。一日を通して適量のタンパク質を意識して摂ることが重要です。

オメガ3脂肪酸(抗炎症作用)

オメガ3脂肪酸は、炎症を抑え肌トラブルの再発を防ぐ作用があり、青魚(サバ、サーモン、イワシなど)やクルミ、亜麻仁油、えごま油、チアシードなどに多く含まれます。週に数回は青魚を食べたり、サラダに亜麻仁油を使うことで無理なく取り入れることができます。

ポリフェノール(抗酸化・炎症抑制)

ポリフェノールは、肌の酸化を防ぎ、メラニン色素の生成を抑える働きがあります。ブルーベリーなどのベリー類や、カカオ含有率の高いダークチョコレート、さらに緑茶や紅茶にも多く含まれます。毎日少しずつ継続して摂ることで、より効果が持続します。

控えたい食品(悪化を防ぐために)

一方、糖分の多い食品(菓子類、清涼飲料水)や脂質の多い揚げ物、ファストフード、刺激の強い食べ物(辛いものなど)などは肌の状態を悪化させる可能性があるため控えめにすることをおすすめします。

これらの栄養素を日常的にバランスよく摂取することで、ニキビ跡の改善が進み、肌の回復力が高まります。

食生活改善のポイント

食生活の改善は一度にすべて行うのではなく、毎日の食事で少しずつ取り入れていくことが大切です。継続的に栄養バランスを整え、ニキビ跡の改善を促しましょう。

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この記事を監修した人

征矢野 進一は、日本の医師。 長野県木曽福島町生まれ。1979年3月に東京大学医学部医学科を卒業後、1979年から1988年3月まで東京大学医学部形成外科に所属し、1988年4月に神田美容外科形成外科医院を開設。東京大学医学部附属病院の医局時代にコラーゲンの治験に携わり、日本の「注入剤によるシワ取り治療」に貢献した一人。以来長年にわたりコラーゲンやヒアルロン酸などのシワ取り注入剤の研究を重ねる。日本美容外科学会会長も務め、臨床医向けの「注入剤によるシワ取り治療」の講義を依頼され行うと共に、国内・海外で行われる美容外科学会での発表や医師向けの教科書など論文・執筆も行う。

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