目の下のクマがひどいのは病気?腎臓や肝臓との関係と正しい治し方

目の下のクマがひどいのは病気?腎臓や肝臓との関係と正しい治し方

目の下のクマが長期間にわたって濃く、黒く見えると、ただの疲れや寝不足だけでなく、体の内側の不調が関係している場合があります。特に慢性的にクマが消えない、日によって色の濃さが変わる、腫れや痛みを伴うといった症状があるときは、注意が必要です。

目次

目の下のクマの種類「青クマ」「茶クマ」「黒クマ」

クマには大きく分けて「青クマ」「茶クマ」「黒クマ」があります。
青クマは血行不良や貧血が原因で、皮膚の下を通る血管が透けて見えることで起こります。特に冷え性や睡眠不足、ストレスが続くと血流が滞り、目の下が黒く見えやすくなります。
茶クマは色素沈着が関係し、アトピー性皮膚炎や擦りすぎなどによって皮膚の色が変化します
黒クマは加齢や皮膚のたるみによって影ができるもので、脂肪の減少や眼瞼下垂が関係していることもあります

しかし、単なる美容の問題だけでなく、腎臓や肝臓などの臓器が関係しているケースもあります。腎臓は体の老廃物を排出し、体内の水分や塩分を調整する役割を担っています。腎臓機能が低下すると、体に余分な水分が溜まり、目の周りがむくみやすくなり、結果として目の下が黒ずんで見えることがあります。また、肝臓の働きが悪いと、血液の質が低下して血行が滞り、目の下の皮膚にくすみが出ることもあります。
甲状腺の異常(特にバセドウ病)やうつ病、慢性疲労などもクマの悪化に関わることがあります。こうした内科的な原因が疑われる場合は、美容外科や形成外科だけでなく、内科での診療も視野に入れるべきです。病院で血液検査を受け、腎臓や肝臓の数値をチェックしてもらうと、原因の一端が見えてくることがあります。

目の下のクマが病気のサインかもしれない理由

目の下のクマには、見た目の印象を大きく変えてしまうだけでなく、身体の内側のサインが隠れている場合があります。上記のように、貧血症、バセドウ病、肝機能・腎機能の低下、アトピーや皮膚炎、そしてうつ病などが原因として考えられますが、実際にはそれぞれが複雑に関係しているケースも少なくありません。

貧血症が原因の青っぽいクマについて

貧血症によるクマは鉄分不足だけでなく、慢性的な胃腸の不調や女性ホルモンの変動とも関連しています。月経が不順な人やダイエットを繰り返している人は、鉄の吸収が低下しやすく、目の下に青黒い影が出やすくなります。また、血液の流れが滞ると皮膚の下を通る血管が透けて見えるため、顔全体が疲れたような印象になってしまいます。

バセドウ病による眼球突出とクマの関係

バセドウ病の場合は、単に目の下が黒いだけでなく、眼球の突出やまぶたの腫れなど、眼瞼(がんけん)の変化が見られます。この状態が続くと脂肪や皮膚のたるみが進み、黒い影としてクマが定着します。甲状腺ホルモンの過剰分泌によって代謝が異常に高まり、体重が減少する、動悸がする、手が震えるなどの症状を伴うこともあります。見た目の問題にとどまらず、全身のバランスが崩れるため、専門の医師による早期診療が欠かせません。

肝臓・腎臓の機能低下による黒いクマ

肝臓や腎臓の機能低下によるクマは、特に見逃されやすいタイプです。体内の老廃物をうまく排出できないと、血液中の不純物が増え、皮膚の色がくすみやすくなります。腎臓に負担がかかると、体がむくみやすくなり、目の下の皮膚が膨らむことで影ができ、黒く見えるようになります。飲酒や過食、睡眠不足などの生活習慣が引き金になることも多いため、日々のセルフケアが大切です。

アトピーや花粉症による皮膚炎と色素沈着

アトピーや花粉症による皮膚炎では、目の周りをこするクセがさらに悪化を招きます。皮膚が薄くデリケートな目元は摩擦に弱く、刺激を受け続けることで色素沈着が進み、茶色っぽいクマとして残ってしまいます。保湿を徹底すること、医療機関で抗アレルギー薬や外用薬の指導を受けることが改善の近道です。美容目的のケアよりも、まず炎症を抑えることが優先されます。

うつ病や自律神経の乱れによる青白いクマ

うつ病に関しては、心の問題が体の見た目に現れる代表例といえます。自律神経の乱れによって血行が悪くなり、顔全体が青白くなります。特に目の下や口の周りの筋肉は血流の影響を受けやすく、クマとして目立ちやすい部分です。気分の落ち込みや眠れない夜が続くときは、精神的な疲労が身体にも現れている可能性があります。こうした場合、自分で原因を探すよりも、心療内科などで専門の診察を受けることが回復への第一歩です。

美容医療と生活改善によるクマのケア方法

これらの病気以外にも、加齢や脂肪の減少による影、眼窩脂肪の突出、頬骨の位置などもクマの見え方に関係します。美容外科では、ヒアルロン酸の注入やハムラ法、脱脂といった施術で、構造的に影を目立たなくする治療が行われています。ただし、根本的な改善を目指すなら、体の内側の健康を整えることが欠かせません。

クマを隠すより、原因を知ることが大切

目の下の黒ずみは、単なる美容の悩みではなく、身体の不調を知らせるサインでもあります。生活習慣の見直し、睡眠の質の向上、バランスの良い食事、そして定期的な健康チェックを行うことで、クマの原因を根本から治すことができます。
クマを隠すよりも、なぜ黒く見えるのか、どんな病気が関係しているのかを知ることが、改善への第一歩です。気になる症状が長引く場合は、形成外科や皮膚科、美容外科、さらには内科まで、適切な診療科を受診して相談してみましょう。

美容クリニックで目の下クマを改善する

美容医療の分野では、クマの種類に応じてさまざまな改善方法が提案されています。たとえば、黒クマには脱脂やハムラ法と呼ばれる施術で目の下の脂肪を整える方法があり、青クマにはヒアルロン酸の注入で凹みを目立たなくする対策があります。茶クマの場合は、レーザー治療や美白成分を用いたスキンケアが効果的とされています。

原因を知って「目の下クマ」を改善する

いずれの方法も「原因を正確に知ること」が最も大切です。脂肪の量や皮膚の厚さ、血管の透け具合など、症状は人によって異なります。そのため、クマの改善を目指すなら、形成外科や美容外科で医師に相談し、自分の状態をしっかり説明してもらうことが必要です。

生活習慣の見直しも欠かせません。睡眠不足やストレスは血行を悪くし、クマを濃く見せます。スマートフォンやパソコンの長時間使用を控え、目の周りを温める習慣を持つと血流が改善され、黒ずみが薄くなることがあります。また、栄養バランスの取れた食事を心がけ、鉄分やビタミンB群を意識的に摂取することも有効です。

一見、美容の悩みと思われがちなクマも、慢性的な体の不調を知らせるサインであることがあります。放置せず、早めに受診して原因を突き止め、適切な対策を行うことが大切です。クマがひどく黒く見える場合は、単なる疲れではなく腎臓や肝臓などの内臓に関連する病気が隠れていることもあるため、生活習慣の改善と医療的なチェックの両方を視野に入れて、しっかりとしたケアを行いましょう。

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この記事を監修した人

征矢野 進一は、日本の医師。 長野県木曽福島町生まれ。1979年3月に東京大学医学部医学科を卒業後、1979年から1988年3月まで東京大学医学部形成外科に所属し、1988年4月に神田美容外科形成外科医院を開設。東京大学医学部附属病院の医局時代にコラーゲンの治験に携わり、日本の「注入剤によるシワ取り治療」に貢献した一人。以来長年にわたりコラーゲンやヒアルロン酸などのシワ取り注入剤の研究を重ねる。日本美容外科学会会長も務め、臨床医向けの「注入剤によるシワ取り治療」の講義を依頼され行うと共に、国内・海外で行われる美容外科学会での発表や医師向けの教科書など論文・執筆も行う。

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